今回は、個別のアイテムの話ではなく、「ファッションにおけるコスパ」について考察していきたいと思います。
ファッションを仕事にしていた期間が長いこともあり、よく、「どういったファッション着ればいいの?」と言われます。
メンズファッションにも流行はありますが、レディースに比べると定番品が多いですよね。そして、定番品ほど、お得に手に入れたいと思うのがメンズ心。
世の中のファッションとコスパに関する記事に関する記事は、間違いだらけです。今回は、10年以上服飾業界を見てきた私の視点から、「本当にコスパがいい」とはどういうことかについて解説します。
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コスパの観点からファッションを考えるのはありか?なしか?
結論から言うと、ファッションはコスパで考えるべき、です。
・服にかける金額は限られてる。
・服をきちんと着るだけで印象はとてもよくなる。だから、適当な服でない方がいい。
服もROIの視点で考えるのは、趣味でない限りとても重要
ファッションにおけるコスパで意識したいことは?
では、ファッションにおけるコスパというのは、いったいどういうことでしょうか。世の中に一般的に出回っているコスパの良さと、私の考えるコスパの良さというのは少し違います。
世の中のファッションのコスパ情報はウソだらけ?
世の中「ファッション コスパ」で検索すると、
- ユニクロはコスパ最強
- コスパ最強ブランドはこれだ!(グリーンレーベルやビーミングなどを紹介)
- 安い価格帯のブランドを紹介!
みたいな生地があふれています。※グリーンレーベルやビーミングが悪いブランド、というわけではありません。しかし、これらは、本当の意味で考えると、間違った記事、だと思っています。なぜなら、これらは、「コスパ=安い」でひとくくりにされているからです。
ファッションにおけるコスパってなんだ?安ければいいのか?
もちろん、ファッションは消耗品でもあります。なので、値段は非常に大事です。しかし、「コスパ=安い」では決してありません。損失を垂れ流している会社の株が安いからって、みなさんはその会社の株を買わないですよね。
コスパというのは「パフォーマンスの高さ/値段」で決まるべきです。
ある程度値段が張っても、長く使えたり、抜群の着心地なものはコスパが高いですし、一方で安くても、すぐダメになるようなアイテムは、決してコスパが高いとは言えないでしょう。この、パフォーマンスの高さをないがしろにしてはいけないのです。
ブランド単位でコスパを図るのは危険?
本当にファッションをコスパで考えるのであれば、ブランド単位で「コスパが良い、悪い」という考え方は、今すぐやめたほうがいいでしょう。
なぜなら、ブランドによって、その背景や出自が異なります。そして、「餅は餅屋」という言葉があるように、それぞれの得意分野があるのです。(たとえば、トゥモローランドはニットが実は非常に強いです。これは彼らがもともとはメンズのニットメーカーだったことが由来です。逆に言えば、シャツ系とかはそこまで強くない印象です。)
つまり、アイテムごとにコスパのよいブランドというのは、本来異なるべきなのです。なので、ひとくくりにコスパをブランドで考えるのではなく、本当にコスパを追求するなら、カテゴリ単位、アイテム単位でコスパが良いアイテムを集めていくべきだと考えます。
洋服のコスパは、「耐久性×見た目のインパクト」で選べ
洋服にお金をかけるポイントは、「長く使えるかどうか」「それが見た目、印象にどれくらいのインパクトを与えるか」
長く使えるものにはお金をかけたほうがいい
印象に与えるインパクトが大きいものは、ある程度きちんと見えるものを着たほうがいい
耐久性と見た目のインパクトで分解したものが以下の図になります。基本的には、服の選び方は、4つのゾーンに分けて考えることができます。
洋服をゾーンで分ける理由とは?お金をかける理由も紹介!
金をかけるべきゾーン:アウター・コート/バッグ/スーツ・革靴/時計・アクセサリー
このゾーンに入るものは、あんまり買い替えることが少なく、1回買えば10年以上使えるもの。かつ、リセールバリューが考えられるものになります。
まず、ここに入るカテゴリのものは、まともなものを買おうと思うと、それなりに値段がします。であれば、納得いくものが買えず毎年買い物するよりは、いいものを買って長く使うべきです。
たとえば10万円のコートを買うとします。これを10年で考えると、1年あたり1万円。一冬40回着るとして、1回あたりは250円になります。そう考えると、とても安いですよね。3万円のコートを買って3年で捨てるのとコスパ的には同じです。
さらに、考え方によっては、リセールバリューも考えられます。その代表的なものが時計で、パテックフィリップやロレックスなど有名ブランドは、ものによっては、買ったらその時点でリセールバリューがつくものもあります。そういう意味でも、いいものを長く大事に着て、不要になったら、できるだけ高価に買いとってもらうという戦略を取ることができます。(※リセールを推奨しているわけではありません。)
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値段と機能のバランスを取るゾーン:パンツ、セットアップ、ビジネスシャツ
このゾーンに来るものは、「以外と消耗するけど、それなりにいいものを着るべき」アイテムになります。
たとえば、パンツやビジネスシャツは意外と消耗します。(1~3年くらいで買い替えが必要)しかし、買い替えのたびに高いもの買うのはちょっとナンセンスですよね。
でも、このゾーンではあまり手を抜くべきではありません。なぜなら、このゾーンは、シルエットに与える影響が大きいなど、ここで変なものを着ると、全体の印象が悪くなってしまうからです。なので、ここは、機能と価格のバランスをうまく取る必要があります。かつ、このゾーン、実はユニクロが最適とは限らないのです。(体型によって取るべき選択肢が大きく変わってくるので)
と言っても安心してください。パンツなら5,000円くらいから、セットアップなら1万円代後半くらいから、それなりの値段でコスパのいいものはあります。個人的にはこの部分はしっかりシルエットにこだわって、バランスがいいものを選ぶことをお勧めします。
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気に入ったものを長く使うゾーン:セーター/スウェット/シューズなど
このゾーンは、そこまでクオリティにこだわる必要はないアイテムです。むしろ、いいものを身につけていても、いいものであることは本人しかわからないケースもあります。そして、そんなに買い替え頻度は高くないアイテムになります。
だからこそ、ここは、気に入ったものを長く使ってもらいたい、と思っています。ただ、服に興味がないのであれば、安いもので全く問題ありません。そういうカテゴリになります。本当に興味がないのであれば、このゾーンはすべてユニクロで揃えてもOKです。
そして、興味深いことに、この部分は、実はユニクロが非常に強いのです。例えば、フリース、セーター、ウルトラライトダウンなどが該当するでしょう。素材の調達力にものを言わせることができるゾーンともいえます(笑)
なので、安いものでも十分ですが、個人的には、ここを楽しめるようになると、オシャレがさらに楽しくなる、そういう風に思っています。
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安くていいものを着たおすゾーン:ワイシャツ/Tシャツ/下着・靴下など
ここはどうしても買い替え頻度が高くなるので、思い切って、安くていいものを、頻繁に買い替えましょう。
このゾーンで大事なのは、清潔感です。安くても新しいものは、ヨレヨレのいいものに勝ります。
Tシャツは、1万円のTシャツと1500円のTシャツで、6倍の価値は出ません。耐久性もそこまで変わりません。であれば、素直に1500円のシャツを3枚買って、頻繁に交換したほうが10倍キレイに見えます。ここにお金をかけるのは、本当にファッションが好きか、お金が余っているかのどちらかになるかもしれませんね。
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ファッションもコスパで考える時代?賢い洋服の選び方をしよう。
ファッションも消耗品である以上、(趣味でなければ)コスパを重視して買うのはとても良いことです。しかし、「コスパ=安い」では決してありません。アイテムごとに考え方も違いますし、アイテム選びの戦略も変わってきます。
ただ安いからと言って服を買う人は、定位株を漁っている株が得意じゃない人とおんなじです。賢明なる投資家であれば、カテゴリごとに戦略をたて、上手に買い物するべきでしょう。
それではごきげんよう。
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